身近な衛生害虫「ゴキブリ」―その正体と正しい対策とは?

「黒くて素早い」「見ただけでゾッとする」
多くの人が嫌悪感を抱く昆虫、それがゴキブリです。
見た目だけでなく、ゴキブリは衛生面でもさまざまなリスクをもたらす害虫として知られています。
今回はゴキブリの基礎知識から被害の実態、そして効果的な駆除法までをまとめてご紹介します。

※以下の内容にはゴキブリの種類を紹介するイラストが含まれますので、苦手な方はご注意ください。

ゴキブリとはどんな虫?

ゴキブリはバッタ亜群のゴキブリ目に属する昆虫で、成虫は6本の脚と4枚の羽を持ち、頭・胸・腹に分かれた構造をしています。ちなみに、意外に思われるかもしれませんが、シロアリも同じ「ゴキブリ目」に分類されます。
ゴキブリは世界で約3500〜4000種が確認されています。しかし、私たちの生活空間に入り込み繁殖する種はごく一部です。

日本でよく見られるゴキブリ ※イラスト閲覧注意※

日本の屋内に出現するゴキブリは、以下の種類が代表的です。

※下記イラスト閲覧注意

クロゴキブリ (英名:Smokey-brown cockroach)

黒褐色で光沢がある。寒さに強く屋外にも生息し越冬ができるが、家屋内にも生息する。

チャバネゴキブリ (英名:German cockroach)

小型で茶色。寒さに弱く屋内で人間に密着して生活しているため、殺虫剤処理の生き残りが定着して抵抗性が発達し、駆除が困難となるケースが多い。

ワモンゴキブリ (英名:American cockroach)

日本の家屋内に生息するゴキブリでは最大種。赤褐色で背中(前胸背)に黄色いリング模様がある。

ヤマトゴキブリ (英名:Japanese cockroach)

昔ながらの日本家屋に多かったが、現在は高気密高断熱の住宅が増えたことにより、屋内で見かけることは稀。

キョウトゴキブリ (英名:Kyotoan cockroach)

光沢のない茶褐色をした小型のゴキブリ。工場の排水桝やマンホール内など、常に水の存在する環境によくみられる。

ゴキブリがもたらす主な被害

家の中で突然ゴキブリを見かけると、思わず悲鳴を上げてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、私たちがゴキブリを警戒すべき理由は「見た目の気持ち悪さ」だけではありません。
ゴキブリはさまざまな形で、私たちの暮らしや健康に影響を及ぼす存在なのです。

心理的被害

夜間に突然現れたり、家の中を素早く動き回ることで、不快感や強い恐怖心を与えます。一度出会ってしまうと「またどこかに潜んでいるのでは…」という精神的な負担にもつながります。

病原体の運搬

ゴキブリは食中毒の原因となるサルモネラ菌を媒介することが知られています。さらに、チフスや胃腸炎の流行と家庭内に生息するゴキブリが持つ病原菌との関連も報告されています。さらに、チャバネゴキブリやワモンゴキブリから小児麻痺ウイルスが検出された事例もあります。

アレルギーの原因

ゴキブリの死骸や排せつ物の微細な粒子は空気中に舞い上がり、鼻や気道を刺激します。その結果、くしゃみ・鼻水・目や皮膚のかゆみといった症状だけでなく、重度の場合は呼吸困難を引き起こすこともあります。

食害と汚染

ゴキブリは食料だけでなく、紙や布、革製品までかじってしまいます。
その際に排せつ物や嘔吐物で汚染され、食品の衛生リスクや美術品・文化財の損傷を招くこともあります。

精密機器への侵入

ゴキブリは暖かい場所を求めて狭い隙間に侵入するため、パソコンなど発熱性の精密機器や部品に入り込んで被害を与えることがあります。

製品への混入

食品などにゴキブリが混入すると、品質上の問題だけでなく、企業イメージに深刻な打撃を与えることがあります。

ゴキブリの好む環境とは?

ゴキブリが最も好むのは、「餌・水・隠れ場所」が揃った環境です。
特にチャバネゴキブリは小型のため水分の確保が難しく、水のある場所に集中して生息します。
家や施設の周囲に放置された生ゴミ、植木鉢の受け皿、段ボールなども、彼らにとっては絶好の住みか。
「屋外からの侵入を防ぐ」ためにも、身の回りの整理整頓が重要です。

効果的な駆除と予防法

1.環境の見直しが第一

ゴキブリの個体数は餌、水、隠れ場所の多さに密接に関係しているため、それらを除去して住みやすい環境を無くすことが重要です。
食べ残しや水気を放置しないこと、ダンボールや古新聞をためこまないことが根本的な対策となります。

2.毒餌の設置

餌と水はゴキブリの生存に欠かせないため、その近くにある潜伏場所を見つけて毒餌を設置すると効果的です。
また、床面や壁面に殺虫剤を残留散布することで、潜伏場所から出てきた個体にも対応できます。
ただし、毒餌を置いた場所に殺虫剤を散布してしまうと、ゴキブリが毒餌を避けてしまう恐れがあります。そのため、毒餌と殺虫剤はエリアを分けて使うのがポイントです。

3.粘着トラップの活用

粘着トラップはゴキブリを捕まえるだけでなく、ゴキブリがいるかどうかや、どの場所でよく出るかを確認する“見える化”にも役立ちます。

設置のポイント

■キッチンのシンク下やコンロ周り:餌や水がある場所で活動が活発になりやすい
■冷蔵庫や食器棚の隙間:暖かく狭い場所に潜む習性がある
■床や壁の角:壁沿いに移動する習性を利用

チェックの方法

週に1回程度、トラップを確認して捕獲数をチェック。
捕獲数が多い場所は、餌や水の管理、清掃、毒餌の設置など、重点的に対策を行う目安になります。

オススメ製品

・ゴキブリが好む成分で効果的に誘引
・10枚入で一度に多くの場所で設置可能
・強力粘着剤でしっかり捕獲
・台紙は目立ちにくい木目柄を採用

まとめ

ゴキブリは見た目だけでなく、健康被害や設備・企業リスクにまで影響を及ぼす、見過ごせない衛生害虫です。
とはいえ、正しく生態を理解し、適切な対策を取ることで、確実にリスクを減らすことができます。
「見かけたら駆除」だけでなく、見かけないうちに環境から見直す。
これが、ゴキブリと“出会わない”ための一番の近道かもしれません。

参考文献

辻英明. 衛生害虫ゴキブリの研究. 北隆館, 2016, p.12,17,26,
日本産ゴキブリ全種図鑑pp.2~6
辻英明. 衛生害虫ゴキブリの研究. 北隆館, 2016, p.28
辻英明. 衛生害虫ゴキブリの研究. 北隆館, 2016, p.140~146
辻英明. 衛生害虫ゴキブリの研究. 北隆館, 2016, p.78, pp.84~89
辻英明. 衛生害虫ゴキブリの研究. 北隆館, 2016, p.86,157~162